
【放送日時】
2016/7/30
【TV局】
フジテレビ系
【番組】
新・週刊フジテレビ批評
【カテゴリ】
発言・失言
【発言者】
湯川れい子(音楽評論家・作詞家、80)
速水健朗(編集者・ライター、42)
西山喜久恵(フジテレビアナウンサー、47)
【発言内容】
(放送開始から42分後)
1985年に放送されたドラマ「金曜日の妻たちへ3」(TBSテレビ系)の主題歌、小林明子(57)の名曲「恋におちて~Fall in love~」について。
速水「『金妻』って言葉ってね、大不倫ブームってのがあり、まさに歌詞の中にも、そういうふうに許されない恋みたいなものが織り込まれていますけど。
この歌詞についてエピソードがあるって聞いたんですが」
湯川「これはですね、ホントに苦しんだ曲ですが。
最初はカレン・カーペンター、カーペンターズのカレンの声に小林さんの声が似てるっていって、英語でいこうと。
そうするとセリフにかぶっても邪魔にならないから、全曲英語で書いて下さいって事で私にご注文があったんです。
それで全曲英語で書いたら、今度レコード会社が『いやぁ~こんな英語では絶対ヒットしない。
だから頭は、1番の頭は日本語にして欲しい』また書き直して2番を英語にしてみた。
3回目は『いや、だから清潔過ぎて、声も。不倫のドラマだからちょっと不倫の匂いをさせて欲しい』と言われて。
ホントに不倫の匂いって言われても・・・」
速水「カレン・カーペンターの声から不倫って。無茶ぶりですよね」
湯川「ホントに。それで私もちょうど子育ての最中で不倫なんてイメージも何も沸かないんですけど。
夜遅く子どもが寝てから、窓越しにちょうど千日谷の線にセンター街のマンションが見えて、その灯りの窓一つひとつにどんなドラマがあるだろう。
と、思いながら。
土曜の夜と日曜のあなたに会いたいと。
そういう言葉とかいろいろ」
速水「電話を掛けようとするんですけど、電話も掛けてはいけないわけですよね?」
湯川「いや、もう掛けられない。掛けたくても掛けたくても夜中に掛けたい。でも掛けられない。でも掛けちゃう。
そうすると、ダイヤルを回して手が止まって、そこで自省するんですよね。
でもその時ちょうど、いきなりプッシュフォンが鳴ってたり」
速水「タイミングで」
湯川「タイミングで」
速水「電電公社からNTTに民営化して、どんどん電話も黒電話からプッシュフォンに変わって」
湯川「1985年の秋から冬ですね」
速水「けど・・・。
プッシュフォン止めるのとダイヤルでは」
西山「ダイヤルの方がいい」
速水「詞上、全然違う」
湯川「プッシュフォンになったら、歌にならない」
西山「ならないですよね」
湯川「それでも」
西山「味気ないです」
湯川「そのテレビドラマのディレクターの方からは『これはもうマズイと。ダイヤルじゃないと。ここは変えて下さい』と注文が来たと言われたんです。
そこだと。そこだけは変えられないし。もう勘弁して下さいって言って、レコード会社のディレクターに寄り切ってくださった」
速水「逆にメディアシーンの編成に歌詞が反っているという意味で、非常に良いタイミングで作られた曲ですね」
作詞家・湯川れい子が「恋に落ちて」を手掛けるまで、様々な葛藤があったのだ。
(放送開始から45分後まで)